草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

ハイイロチュウヒ

土曜日の昼下がり、堤防でも一回りでもしてみようか・・と目的も無く車を走らせ、田んぼの縁のビニール袋に気を取られて車を止めた。何だ、やはりビニールかと思った次に、その向こうに広がる緑の中に白っぽい鳥が降りていることに気付いた。もしかして・・、双眼鏡で見るとハイイロチュウヒらしき鳥だが、遠くてはっきりしない。
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急いで2・3枚撮り拡大すると、やはりハイチュウだ。まだこの辺に留まっているだろうとは思っていたが、この明るい中で遭えるとは想像もしていない。畑に降りた姿は2年ぶりかな。どうやら羽繕いをしているらしかった。
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それなら近づく時間があるかもしれない。これなら写真に納められる、と期待しながらカメラを三脚に付け、ゆっくり堤防を下りた。
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しかし・・・、
”背丈のある枯れ草の切れる処まで”と進む途中、視野の中でふいに白っぽい羽が拡がり、宙に浮かぶと、スーッと滑り出す。「あ、飛んだ!」、慌てて三脚を起きカメラを向けるが、ハイチュウは思ったより速いスピードで見る見る近づいてくる。
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途中、人に気付いて方向転換し舞い上がるかな?・・と思い距離を測るが、気付いたに違いないハイチュウは向きも変えず、真っ直ぐに低空を近づいてくる。結局、フォーカスを合わせる間も得られずに、シャッターを切り続けた。
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それにしても低い。畦道や田の縁をぶつかりそうな高さでかわし、そのまま上昇するでもなく50cm~1mくらいの高さを保って飛ぶ。あっという間に200m以上、悠然と羽ばたきながら滑るように、羽音もさせず、目の前20m位先を斜めに突っ切った。

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何とかその姿をフォーカスに捉えた時は、もう後ろ姿だった。そのまま堤防の上に舞い上がり、3・4m上昇して方向転換、今度は道路の盛土の裾を滑っていく。

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150mくらいに離れて、やっと落ち着いてその姿を捉えられた。フーカスはほぼ合わせられたが、如何せん、今度は遠い。向こうの角からもう一度こちら向きに・・と期待したが、残念。スっと浮き上がって道路を超え、向こう側に姿を消した。いや・・それにしても、低く飛ぶ。冬の日差しの中を地面スレスレに滑り、ハイイロチュウヒは姿を消した。それにしても、会うたびに何かドキドキさせてくれる鳥だ。
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そろそろ冬も終わり。ハイチュウはいつまでその姿を披露してくれるのか。この冬はいつも夕暮れの闇の中でしか見られなかったハイイロチュウヒ、シーズン最後のお別れにと気を利かせ、こんな明るい時間に姿を見せてくれたような気もした。