草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

キバラガラ

昨年末、地方紙の記事でキバラガラのことを知った。公園の探鳥会で行われた探鳥会の際に、めったに見られない珍しい小鳥が見つかったという記事。知人の話では、小さくて松の木の上の方で動き回っていて、さらにキクイタダキメジロなども混じるので見つけるのはなかなか大変らしい。年明けに一度探しに行ったが、どこをどう探せば良いかも分からず、あっさり諦めて引きあげた。

 新聞記事から1ヶ月ほど過ぎ、エナガでも撮ろうとカメラを持って公園に歩いていると、望遠レンズを抱えた7・8人のカメラマンがしきりに木の上を見上げている。恐る恐る聞いてみると、キバラガラが飛んだ行方を皆で追っているという。しばらくして、少し離れた松の木の上に黄色っぽい小鳥が2・3羽飛んでいるのを見つけて、あわよくばカメラに収められるかとレンズを向けた。何枚か撮った後に「ありゃ、マヒワじゃないの!」の声。もうどれがどれか分からぬままに、それと思しき黄色・黄緑の小鳥を見つけてはシャッターを切った。帰宅して確認すると、中の1枚に松葉の包まれたキバラガラが撮れていた。

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 一度撮れると、もっと良い写真が撮れないかと欲が出るもの。キバラガラがまだ居たことも確認できたので、ふと時間が出来た午後にまた出かけてみる。目的の鳥がいると分かると、人間、少々我慢強くなる。30分ほど待つとエナガの群れが現れ、続いてキバラガラも。今度は茅葺き屋根の上に出て来て、チョンチョンと跳び回ってくれた。

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最後に屋根の妻先から空中へ。

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まさに「待てば海路の」何とやらである。その後は出掛けても見れない日もあったが、よく出てくれる時間やパターンも掴めて効率良く捉えられるようになった。相変わらず松の枝を忙しく動き、松の葉に埋もれてなかなか姿を見せてくれなかったが、

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時折は顔を出し、枝から枝へのジャンプや

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羽根を拡げた後ろ姿も撮らせてくれた。後ろ姿はキクイタダキに似ている。

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 公園での滞在も2カ月たった頃、少し慣れて来たのか、人が少なければ松から離れた裸の木で過ごすことも多くなった。

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おそらく虫か何かを探しているらしく、幹の割れ目をしきりに覗き込んでいる。

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木のうろに入り込み、しばらく中を物色して回ったりもする。この木には何度も移って来たから、お気に入りだったらしい。一通り幹の周りを廻りうろの中を探索した後、最後は途中で切られた幹の上に出て周りを見回し、再び松の木へと飛び去る。

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晴れた日には胸から腹にかけての黄色が鮮やかで、青空とのコントラストが綺麗だ。当初は見られないだろうと思っていたが、見慣れてくると愛着の湧く可愛い小鳥だった。