草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

ナベヅル

この辺りで見られる鶴の一つ、ナベヅル。何といっても出水平野のナベヅルは有名で、中国地方では山口・八代盆地にも地図上にはナベヅル飛来地と書いてある。しかし、野鳥を見始めるまでは、ほぼ毎冬一度は鶴がやって来ていることを知らなかった。もちろん、冬中ずっと居てくれるわけではなく、たいていは数日~数週程度とどまるだけで何処かに飛び去って行くのだが。

 昨年は愛媛県を訪れた際、通りすがりに運良く出会えただけのナベヅルだったが、

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今年は海のこちら側で3羽に出会うことができた。

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今年のナベヅルは3羽とも脚環を付けていた。聞くところでは昨年保護されて八代盆地で放鳥された個体とか、元気を回復し自然の中で生きている姿を見られるのは嬉しい。

 干拓地をゆっくり歩き、その後、道路を飛び越して反対側へ。

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行ってみると、道の上を揃ってのんびり歩いていた。ほかの鳥たちに比べ圧倒的に背丈のある黒っぽい姿が右に寄ったり左に寄ったり。まるで、仲間でつるんでおしゃべりを楽しむ登下校の中高生たちのようだ。

そしてまた田んぼの中へと下りて行って、餌を探したり、羽繕いをしたり。

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時折り農作業の軽トラックが走ってくると、顔を上げて辺りを見回す。

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緑を背景に立ち陽光に照らされると、濃いグレイの羽も首筋の白さも一段と輝いて綺麗である。

 しばらく飽きずに眺めていると、やがて首をまっすぐに伸ばした。次に、少し駆けるようにして羽搏くと、ふわりと浮き上がった。

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さらに、力強く2度3度と羽搏くと体がみるみる高く浮き上がる。

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そのまま浮き雲を背景に優雅に空高く舞い上がると、干拓全体を見回すように大きく旋回。やがて方向を決めると堤防を越え、川の向こうへと飛び去った。

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