草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

溜池のオシドリ

 毎冬、山のダム湖までオシドリを探しに行っていた。オシドリは千羽以上いるというが大きなダム湖に散らばり、しかも人目を怖れて湖面に木々が覆いかぶさるような岸辺に隠れているので、なかなかその姿を近くで見ることはできなかった。

 昨年の秋の終わり頃に近くのため池で数羽のオシドリを見掛け、次の朝早く散歩の人が通りかかる前に様子を見に行った。約50羽のオシドリが池の両端に集まっており、時折りこちらからあちらへ、またその逆へと飛び回っていた。

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大きなダム湖と違い、ため池では対岸に集まるオシドリまでの距離はそれほど遠くはない。池を囲む柵にそっと近づき様子を見ていると、オシドリたちはこちらを気にせずに少し中央近くに出て来て泳ぎ回る。

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どうやらオシドリの雄たちが雌を囲んで泳ぎ回っているらしい。

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ときには互いに追い回したり、威嚇し合ったりたりもしているようだ。

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おそらく、まだ渡って来たばかりで比較的大きい群れで集まっているのだろう。その後周囲の様子に慣れるにしたがって、徐々に小さなグループに分かれて近くの池へと散らばっていくのではないか。おおくのオシドリが居れば、その中で雄同士のつっかけ合いも盛んになるのかもしれない。時々、雄・雌2羽だけで群れから離れるペアもいた。

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やがて、周りが明るくなり散歩の人や登校する子供たちが増えて来ると、オシドリたちは道から遠い方の端に向かって場所を変え始めた。

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住宅地の近くのため池にオシドリがいて、賑やかに泳いだり飛んだりしているとは思ってもなかった。でもその後はあまり活発な動きを見られなくなったので、渡って来たばかりの頃と場所に慣れてからでは彼らの行動も変わるようだ。来秋も気を付けていて、渡って来たばかりの頃、活発に池を泳ぎ回るオシドリをもう少し観察してみたいものだ。