草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

ミヤコドリ

ミヤコドリが来ていると聞き、海岸に下りて探してみた。ちょうど干潮と満潮との中間で、干潮で広がった砂浜がかなり狭くなっている。その波打ち際を双眼鏡で探していくと、遠くの取り残された砂州の波打ち際に赤い嘴の目立つ鳥が見つかった。

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砂州には数羽のカモメが休んでいて、ミヤコドリだけが波打ち際を歩き回って餌を探していた。

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暫く見ていると、その乾いた砂州は徐々に打ち寄せる波に沈んでいく。ミヤコドリは少しずつ残された砂の方へと追いやられていた。

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待っていれば砂州が全て波に沈み、ミヤコドリが飛ぶ瞬間が見られるだろうと考えて、海岸の岩に腰掛けて待つ。砂州の上は乾燥しているらしく、時折吹く風に表面の砂が飛ばされてちょっとした砂嵐。

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大きなカモメはセグロカモメ、小さい方はおそらくウミネコだろうか。やがて、砂州が小さくなるにつれ、セグロカモメたちは次々に飛び立ち、残ったウミネコも砂の上で助走を始めた。まるで洋上の甲板から発進する艦載機のようだ。

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ミヤコドリはそれを見送って一羽残された。何となく寂しそうに立ち止まり辺りを見回す。さあ、飛ぶのか?と期待して指をシャッターに置いて待った。しかし・・・、

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沖の方からダイシャクシギがやって来て、さらにウミネコも。今にも波に沈もうかという狭い砂地に鳥たちが集まって来た。

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でも、波は次第に砂地を被っていく。ウミネコが去り、もう脚まで潮が満ちて来た。

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またまたミヤコドリが最後か?と思った時、その白い羽が拡がった。向かい風を受けたミヤコドリは1mくらいふわりと飛び上がった。

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やはり脚の長いダイシャクシギの方が後に残った。見つけてから40分くらい待ち続け、やっと飛び上がったミヤコドリは運よくこちらの方にターンしてくれた。

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そして大きな声で鳴きながらカメラの前を横切ると、遠くの堤防に向かって飛び去った。