草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

サカツラガン

1か月以上前に来た時に、上流・下流と探してみて見つけられなかったサカツラガン。まだ見たことがない鳥だが、もう居なくなったと思って諦めていた。どころが、たまたま行き会った方に「2・3日前に見に行ったら、まだ居たよ。」という情報をもらい、2日後に出かけてみた。暖冬には珍しい寒さと強風の中で鳥見となったが、何とか撮ることができた。

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でも目的地に着いた時にはカルガモマガモが目に付くだけ、「カモより大きくて分かり易い」はずの鳥は見当たらない。少し下流まで車から探したが、ほかのカモ類は居るものの目的の鳥は見つけられなかった。「先月と同じか」と思いつつもこのまま帰る気になれず、「歩いて丁寧に見るしかない」と決心。まっすぐ歩けないほどの強風の中で、車の外へと出て見渡す。で、たった10mほど上流に歩いた時、泥の中にゴソゴソと動く薄茶色の動物らしきものに見当たった。そばのカルガモよりは確かに大きなものが・・・、でも肉眼では何かのゴミ袋のようにも見えた。先に双眼鏡を向けた連合いの「あれじゃないの?」という声にも「また当てにならんことを・・」と思いつつ双眼鏡を構える。強い風にあおられて後ずさりしながら何とか視野に捉え、「ああ、確かにサカツラガン、なんでこんなところに・・・」、「これじゃ、車から肉眼で探しても見つけられなかったわけだ、水面にいてくれればすぐにも見つけられたものを」。

 初見のサカツラガンは、草の根を穿り出そうと泥水の中に首を突っ込んでいた。

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最初は足も泥水の中で見えず、胴体と首しか見えてなかったのでゴミ袋と間違えても仕方ない姿。写真を撮る気にもならず、強風の中でどうしたものかと立ちすくむ。

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 気を取り直し、寒さに縮みながら証拠写真を2・3枚撮って待つと、やっとサカツラガンが歩いてくれた。しばらく辺りの草を物色し、川の中へと入る。

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ようやく水に浮かぶ姿を撮れそう。

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開けた水面に進んでくれることを期待し、建物の陰に下がって強風を避けて待つ。が、サカツラガンはおもむろに向きを変え草陰で寝ているカルガモの群れに入っていく。

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サカツラガンはこちらの期待を裏切り、すぐに眠り始めてしまった。こうなると、とても外で立っては待てない。すたこら車へと戻り、窓越しに確認できるところまで車を進め、暖を取りながらサカツラガンが起きるまで待つことにした。だが、時折り首を上げるものの、すぐに引っ込めてカメラに捉えられないまま。

 もう帰ろうかと思い始めた頃、サカツラガンがやっと首を上げて羽繕いを始めた。

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その横をオナガガモコガモがゆっくりと通り過ぎる。しばらく羽繕いを続けたサカツラガンは、おもむろに起き上がり羽を拡げると、バタバタと羽搏かせた。

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口は開いていないが、欠伸をしているような感じ? ずいぶん短い仮眠?だった。

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川の堤を歩き回る「カメラマン」を警戒し、しばし寝たふりをして様子を探ったのか、それとも少ない餌に空腹を耐えかねたのか・・・。

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さっきの泥と枯草の「餌場」に戻って歩き回り、草の根(?)の物色を再開した。

 流れる雲間からの日差しを待ち、もう少し良い条件で写真を撮りたかったが、何しろカメラを持つ手、どころか体ごとぐらぐら揺れる強風と寒さ。機会があれば、うららかな日差しと青空の下での再会もあるさと、今は早々に退散するしかない。