草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

ソリハシセイタカシギ(アボセット)

11月末の午後、「何年振りかで例の鳥が来ているよ」と言われ、いそいそと出掛けた。その鳥はソリハシセイタカシギ、学名 Recurvirostra avosetta の種名を取って通称アボセットとと呼ばれている。数日前に発見されたということ、この日も先着した数人のカメラマンが居たので場所はすぐに見つかる。堤防からそっと覗くと、独特の細く反り上がった嘴の白い鳥が水の中に立っていた。

f:id:yakyusurunara:20191226191425j:plain

長い脚は水の中だが、その曲がった嘴と背中の模様で一目でアボセットと分かる。

f:id:yakyusurunara:20191226192507j:plain

もう10年近く前、鳥見を初めて間もない頃にごく近くの河口に飛来し、どんな鳥かも分からないまま駆け付けたことを思い出した。それまでは双眼鏡で確認するだけで満足していた私にフィールドスコープの購入を促し、アップの写真は人に見せてもらうだけで良しとしていた私に、最低限の一眼レフカメラと超望遠レンズの購入を決断させた鳥でもある。その後4・5年掛けてカメラ・レンズを揃えたものの、次の出会いは数年以上先の事だと思っていた。そこへ突然の再会だったが、到着したのはすでに夕方近くで撮影条件は悪い。

以前見た時の印象でコサギより少し大きいと思いこんでいたが、記憶は当てにならない。カルガモの横に並んだアボセットはやけに小さく見えた。

f:id:yakyusurunara:20191226193030j:plain

その背中の模様がうまく撮れればハートマークに見えると聞いていたが・・、

f:id:yakyusurunara:20191226215307j:plain

アボセットは流れに沿って上流へ下流へと歩きながら餌を探していたが、なかなかこちらに背を向けてくれない。近くにいたシギの飛び立ちに驚き、一緒に飛び立ってその華麗な飛翔姿も見せてくれたのだが。

f:id:yakyusurunara:20191226215441j:plain

f:id:yakyusurunara:20191226215456j:plain

羽を広げた状態ではハートに見えないようだ。でもそのかわり、対岸で綺麗にUターンして羽の模様の全体像を披露してくれた。

f:id:yakyusurunara:20191226215742j:plain

遠くに飛び去ることなく元の位置まで戻り、また餌を探し始める。

f:id:yakyusurunara:20191226215916j:plain

夕暮れが迫っていて残念ながらその日は終了、2日後の晴れた昼間にもう一度逢えることを願って川筋を探したが見つけられなかった。でも、今回はその姿をカメラに収められたことで満足し、次の幸運を待つことにする。