草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

シロチドリ親子、その2

4月終わりにシロチドリ親子を見てから約2週間、どうしているか様子を観に行った。
 双眼鏡で浜をくまなく探すと、砂浜の端っこの草叢、しぼんだ待宵草に隠れて周囲を伺うシロチの雛らしき影を発見。
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しばらく見ていると、やがて一目散に走り出す。
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体の大きさを考えれば、かなり足が速い。あっという間に10m近くを走った。
 どこに行くのか?と望遠レンズで追いかけると、
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兄弟たちが茂みに隠れて待っていた。雛は3羽、4月末に見た雛たちは皆無事に育っていた。互を確認するように顔を向け合うと、またそれぞれに別方向を見回して警戒しているようだ。

こちらも動かずに待っていると、しばらくして番の親鳥が近くの砂地に止まり、周囲を警戒する。こちらには聞こえて来ないが、小さな声で何か雛たちへ合図を送っているのだろうか。
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浜で遊ぶ子供たち、散歩する人間や犬が近づいてくると、親鳥がわざと目立つように飛び立ったり、気を引くように浜を駆け回って雛たちから遠ざけようとする。
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散歩の人間達は野鳥の存在に気付かず、あまり効果がないが、それならそれで雛たちにも気付かず通り過ぎていく。走り回るのはどうやら雄の役割、雌は雛から見える範囲に留まり雛たちに合図を送っているように思えた。お父さんお母さんそれぞれの役廻りがあるらしい。

 まだ海の方には出て行かず、草叢に隠れて餌を探しているのかと思っていたら、やがて雌が砂浜を少し下っていく。それが合図だったのか、一羽の雛がお母さんに近寄っていく。すると、その後に別の一羽が続き、やがて雛たちが一斉に砂浜を駆け下りた。
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何も隠れるところのない砂の上が最も危険なのだろう。雛たちは一気に砂地を通り抜け、打ち上げられた海藻のゴミの山を越えると、大小の石が広がる転石地帯へと駆け込んで行った。なるほど、転石の中に紛れ込むと一見しただけでは雛と石ころが区別できず、走ってくれない限り見つけるのが難しくなった。

時々見失いながら、双眼鏡で何とか追い続けるとシロチの親子は集散を繰り返しながら、引潮で現れた広い転石地帯の中央へと進んでいった。すぐ近くをキアシシギが走っても、別に恐る様子はない。
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無害な動物と有害な動物を生まれつき知っているのだろうか?
 お父さんに引率され少し高い岩の上に。
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遅れた兄弟を振り返り、「早く来いよ!」なんて言っていそうだ。「ちょっと待って、この水溜りをどうやって超えるか考えているんだから!」と返事したのかな。この後、シロチ親子はグルッと遠廻りしたらしく、いつの間にか元の草叢に戻っていた。今後、こんな遠足を繰り返して海岸での餌取りを覚えると、おそらく急速に成長していくのだろう。