草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

ノビタキ

4月の半ばころには、あちこちの草地や田の畔にノビタキがやって来る。この辺りは春と秋に渡りの途中に通り過ぎるのみで、短い間だけ見かける。今年は10日前後に見かけ初め、20日頃にはほとんど見ることが無くなった。

 雌は秋の姿との違いが分からず、また離れていると肉眼ではノビタキと分からない。

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 しかし、雄は秋とはまったく異なる。頭が真っ黒、全身ほぼ黒の中に白と茶色が目立つので、距離があっても肉眼でノビタキがいることが分かる。

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秋は雌より少し色が濃く見えるくらいで春ほどの派手さはないが、野原にコスモスが咲く頃に立ち寄って来てくれると、それはそれでなかなかの被写体となってくれる。

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 春、野原の真ん中にポツンと止まる目立つ”黒頭巾”は、野原に新しい季節の訪れを告げながら北上するのだろう。緑に染まり始めた野原の所々に枯れ残る冬の名残に止まり、春への変わり目を報せているようだ。

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草地や畑を飛び回り、あちこち人が残した人工物にも、少しだけ自然の味付けを添えてまわる。

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 ときどき地面を見つめては、おそらく餌を見つけて地面に下りるのだが、

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よく見ると、本当に”飛び降りている”。いや、ぴょんと飛び出し、地面に向かって落下するのを楽しんでいるように見えた。

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もちろん、地面に着く前に翼を広げれば、いつでも好きなタイミングで軽々と空中に舞い上がることが出来る。

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体重の軽い小鳥ならではと、羨ましいような気分になって来る。