草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

セイタカシギ

今季初めてセイタカシギとの出会い。訪ねると、この日は池に造られた浮島にポツンと一羽で佇んでいた。
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アップにすると、じっと視線を遠くに送るような物寂しげな風情。
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細い脚一本で立つと、さらに細さが際立ち、脚というより何かの棒の先に止まっているようにすら見える。

 のんびりした雰囲気の中、不意に頭上に大きな影を感じてセイタカシギが羽を広げ、低く屈んだ。
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首をすくめてやり過ごしてみると、黒い影の正体はカワウだ。
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カワウさん脅かさないでよ! と言いたげなセイタカシギに背を向けたまま、カワウは何食わぬ顔で翼を広げ、羽を天日干し。
 「ああびっくりした・・・」としばし水面を見つめて呆然のセイタカシギ。目の周りがうっすら灰色を帯びる他は、首も頭も真っ白で細く尖った嘴がやけに目立っている。
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これまで出会ったセイタカシギは目の周りや頭・首に黒い部分があるものが多く、
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それに比べ、今年出会った頭の黒くないセイタカシギは、何処となくひ弱そうに感じてしまう。

 翼の天日干しを終えるとカワウは何処かに飛び去り、残ったセイタカシギは再び一羽で佇み、孤独に浸っている。すると、今度はカルガモがやって来て、浮島のすぐ傍で羽をバタバタ。
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羽バタバタを終えたカルガモが反対側の浮島に上陸すると、セイタカシギは正対をさけるように羽繕い。
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種類の違う鳥同士でも知らぬ同士いきなり視線を合わせるのは避けるのだろうかな、とふと思った。
 すると、セイタカシギは羽を広げて大きく伸びをする。これは飛ぶ前兆か? カワウが去ったらカルガモ、そろそろ此処も煩くなったかな?
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ところが予想に反して、セイタカシギはおもむろにカルガモの方に向かって歩き出した。
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浮島の端に来ると、カルガモの居る浮島に向かって軽くジャンプ!
 着地で足に違和感でもあったのか、しばし立ち止まって自分の足首辺りを嘴で咥えて?調べている様にも見える。
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もしかして、足の具合でも悪くてじっと佇んでいたのかな。

 足の点検?を終えたセイタカシギは、再びゆっくりと歩いてカルガモに近づいていった。
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こんな時、鳥同士ではどんなやり取りがあるのだろうか。互いに気配を感じてもないようなフリをしてやり過ごすのか、それとも若干は警戒心を持つのか。「もしもし、カルガモさん!」とでも言うように、セイタカシギは足を止めずに近づいた。
 そして、
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二羽で一緒に水面を見つめたように見えた。「ところで、あれは何だと思いますか、カルガモさん。」とでも? しばらく同じ池で暮す鳥同士、何となく共感でも生まれたのだろうか。その後もしばらく、並んで毛繕いをするこの二羽の間には、何故かシンクロナイズする瞬間が多いように感じられた。
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