コハクチョウ、オオハクチョウ
先月末に新潟平野を訪ねた。冬鳥の北帰と夏鳥のちょうど端境期。鳥は少ないと覚悟はしていたが、車で1時間、福島潟まで足を伸ばしても冬鳥の象徴・白鳥は一羽も居ない。新潟平野の北端、村上まで行けばまだ数羽くらい残っているかもしれないと聞いて、意地でさらに1時間半北上した。
観光客から餌を貰えるのだろう、それでも野生の鳥に違いはない。見られないよりはまし、と慰めながら陽の沈む海岸線を2時間かけて南下した。途中、日本海の荒波の沖にここならではの海底油田プラットフォーム(岩船沖油ガス田)。「まあ、鳥見以外でも珍しい物を見られ、来た甲斐はあったか・・」と思いつつ。
実は私の住む辺りでも、冬には希にコハクチョウがやって来る。長居はしてくれないので、運が良くなければ出会えないが。
このオオハクチョウは次の日に別の池に移住。そこに1週間以上も滞在してくれた。
大きな鳥が逆立ちで餌を探す様子も、なかなか見れない姿だ。
時期を重ねるように、近くの公園の池にもオオハクチョウの幼鳥と亜成鳥が2羽で飛来。この2羽もしばらく優雅な姿で楽しませてはくれたのだが、昼間は盛んに2羽揃って逆立ち状態、
知らずに公園に来た人がいきなり見ても、すぐにはとても”白鳥”とは分からなかったろう。でも、食事の合間には時折、羽繕いや羽撃きも披露してくれた。
周りのカモ達と比べ圧倒的な大きさを誇る白鳥の羽撃きは、さすがの迫力だ。
”あわよくば越冬も?”というこちらの願いをよそに、オオハクチョウ達はやがて1羽また1羽と何処かへ飛び去り、最後に残った幼鳥はさすがに寂しそう。
ある日、食事を終えた幼鳥が池の真ん中に出てきてうなだれるように首を下げたり、
その首を、空に向かって思い切り首を伸ばしたり・・。そんな動作を数回繰り返していた。
仲間の居ない寂しさに、「誰かが応えてくれないか」と仲間を求める仕草のように思えた。そして何度目かの仕草を終えた次の瞬間、幼鳥は大きく羽ばたいて水面を離れ、
遠くの何処かを目指して飛び去って行った。