アメリカコガモ
日曜の朝、「アメリカコガモがいるので早く来て!」との連絡あり。鳥の名前に「アメリカ何とか」というのは時々聞くが、コガモにも ”アメリカ製”があったとは。さっそく図鑑で特徴を確かめ、急いで駆けつけた。すでに何台ものカメラが並び、探す必要もない。で、早速ファインダーを覗くと、たまたま頭を上げた横顔を見ることができた。腹と胸を分けるように、くっきりとした白いライン。これが”アメリカ製”の印だという。
しかし、その後は翼に嘴を突っ込んでずっと眠ったまま。一度か二度顔を上げて見回したが、水を飲むにもそのままで首を水面に垂らして・・という”ものぐさ”ぶり。
よほど疲れているのか、其処が気に入り誰にも譲りたくないのか、2時間近く待っても動きを見せず、望遠レンズで筋トレの苦痛をよそに、よく晴れた青空の下でまったりと時間が過ぎていく。眠り続けるアメリカコガモの背景では、子育て真っ最中のカイツブリ夫婦が2羽の雛たちに甲斐甲斐しく餌を運ぶ様子が微笑ましく、ついついそちらに目が行ってしまう。
こちらもいつまでも待っているわけにも行かず、結局、全身も泳ぐ姿も見れないままに諦めて家に戻り、やりかけの仕事を片付けた。
しかし、頭に残っていた「今後、もう一生見れないだろうね。」という言葉に押され、夕方もう一度様子を見に行く・・・”今度は少し動いていて欲しい”と期待しつつ。でも着いてみるとやはり、相も変わらず昼寝中だ。
しかも1時間前に一度水に入ったと教えられ、よけいに見逃した残念さが増す。同じく見逃したという別のカメラと2台が並んで、何とか泳いで欲しい、”動いてくれ!”と念を送り続けた。
でもまあ、こんなものか・・と思った矢先、待ち続けたカメラマンの苦労を察してくれたか、近くで羽繕いを終えたヒドリガモが急に ”アメリカ製”に向かってピーピー鳴くやら羽をバタバタするやらの挑発?を始めてくれた。
浮島の端まで歩き、長い昼寝の後のストレッチよろしく体を伸ばし、さらにゆっくりと羽を拡げて2・3度羽撃いた。
そして水面に近づき、軽く羽ばたいて池にダイブ!!
水に入ると、餌をついばみながら閉園迫る池を5分ほど泳ぐ。
隣りの浮島までび一往復を泳いだところで、アメリカコガモは元の浮島の反対側に上陸し、「本日のショーは此処まで、もう閉園。」とでも言うように丁寧な身繕いを始めた。すると、それまで座り込んでいたヨシガモも合わせて起き上がり、主役の通り道を開けるように水に入っていく。