草季想風

草に季節をたずね、季節に風を想う

アメリカコガモ

日曜の朝、「アメリコガモがいるので早く来て!」との連絡あり。鳥の名前に「アメリカ何とか」というのは時々聞くが、コガモにも ”アメリカ製”があったとは。さっそく図鑑で特徴を確かめ、急いで駆けつけた。すでに何台ものカメラが並び、探す必要もない。で、早速ファインダーを覗くと、たまたま頭を上げた横顔を見ることができた。腹と胸を分けるように、くっきりとした白いライン。これが”アメリカ製”の印だという。
イメージ 1
しかし、その後は翼に嘴を突っ込んでずっと眠ったまま。一度か二度顔を上げて見回したが、水を飲むにもそのままで首を水面に垂らして・・という”ものぐさ”ぶり。
イメージ 2
よほど疲れているのか、其処が気に入り誰にも譲りたくないのか、2時間近く待っても動きを見せず、望遠レンズで筋トレの苦痛をよそに、よく晴れた青空の下でまったりと時間が過ぎていく。眠り続けるアメリコガモの背景では、子育て真っ最中のカイツブリ夫婦が2羽の雛たちに甲斐甲斐しく餌を運ぶ様子が微笑ましく、ついついそちらに目が行ってしまう。
イメージ 3
こちらもいつまでも待っているわけにも行かず、結局、全身も泳ぐ姿も見れないままに諦めて家に戻り、やりかけの仕事を片付けた。
 しかし、頭に残っていた「今後、もう一生見れないだろうね。」という言葉に押され、夕方もう一度様子を見に行く・・・”今度は少し動いていて欲しい”と期待しつつ。でも着いてみるとやはり、相も変わらず昼寝中だ。
イメージ 4
しかも1時間前に一度水に入ったと教えられ、よけいに見逃した残念さが増す。同じく見逃したという別のカメラと2台が並んで、何とか泳いで欲しい、”動いてくれ!”と念を送り続けた。
 するとその思いが通じたのか、もう閉園間近という時になってアメリコガモムックリ起き上がった。
イメージ 5
でもまあ、こんなものか・・と思った矢先、待ち続けたカメラマンの苦労を察してくれたか、近くで羽繕いを終えたヒドリガモが急に ”アメリカ製”に向かってピーピー鳴くやら羽をバタバタするやらの挑発?を始めてくれた。
イメージ 6
むっくり起き上がった見慣れぬ”アメリカ製”を見て驚き、興奮したのだろうか?アメリコガモの方も何やら身を屈めて首を突き出し、翼を持ち上げて”威嚇して”いるようにも見える。
 やがてヒドリガモが去り、”アメリカ製”がゆっくり歩きだした。
イメージ 7
浮島の端まで歩き、長い昼寝の後のストレッチよろしく体を伸ばし、さらにゆっくりと羽を拡げて2・3度羽撃いた。
イメージ 8
そして水面に近づき、軽く羽ばたいて池にダイブ!!
イメージ 9
水に入ると、餌をついばみながら閉園迫る池を5分ほど泳ぐ。
イメージ 10
イメージ 11
隣りの浮島までび一往復を泳いだところで、アメリコガモは元の浮島の反対側に上陸し、「本日のショーは此処まで、もう閉園。」とでも言うように丁寧な身繕いを始めた。すると、それまで座り込んでいたヨシガモも合わせて起き上がり、主役の通り道を開けるように水に入っていく。
イメージ 12
その後、アメリコガモヨシガモが開けた道を通って定位置に戻った。閉園まで粘ったカメラマンに、今日を限り”一期一会”のおもてなし?それとも、明日もまた同じ場所で寝ているのだろうか?